子犬系男子は待てを知らない


雪平くんが好き。

あとは伝えるだけなのに。


……やっぱり、まだ言えない。



***



剣道部の雪平くんを見送り一人になったあたしは、靴箱で待ってくれているはずの愛花の元へ向かった。


「お待たせー」

「璃子、さっきは手伝えなくて悪かったね」

「全然。大丈夫よ」


気にしないでと親指を立ててみせる。


雪平くんが手伝ってくれたから、ってことは言わないでおこう。

ぜーったい、からかわれるもん。


だって愛花には、あたしが雪平くんを好きだって伝えてあるから。

それを伝えた時、『やっと認めたか〜』なんて言ってたのは腑に落ちないけど。

同時に、『応援してるよ』と言ってくれたのは嬉しかった。

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