子犬系男子は待てを知らない
「「きゃーーーーっ!」」
あたしが理解するより先に、悲鳴のような声が一斉に沸き起こった。
だって、ここは教室。
それもお昼休み真っ只中の。
「え、えっと、雪平くん……?」
怖くて見れないけど、自分が今注目の的になっていることだけははっきりわかる。
「ぐすっ、私の雪平くんが……」
「なーんか二人、怪しいと思ってたのよね〜」
「やっぱそうだよなー。イケメンには美人なんだよ……」
段々と騒がしくなっていく周囲。
だけど混乱状態極まりないあたしの耳にはもう、一切届かなかった。
ドッキリ?
それとも夢?
……や、違うよね。
「ちょっ、ちょっと待って。一旦落ち着いて──」
「だめ、かな?」
うぅっ。
かわいすぎる表情で見つめられては、どうにもできない。
「ダメ……ではない、けど」
「よっし」