子犬系男子は待てを知らない
🍓恋のジンクスは時間厳守のおまじない?






「見て、明日ばっちり天気だって」


お昼休みの途中だった。

いつものように雪平くんたちと4人でお弁当を食べていると、スマホを片手に愛花がにんまりとそんなことを言いだした。


「ん?」


とあたしは卵焼きに伸ばしかけた手を止め、見せられた画面を前のめりに覗きこむ。


「やった、ほんとだ」


今は6月上旬。

例年より少し早く梅雨入りしたせいで、ここ連日雨続きだったから、本当によかった。

雨の中の文化祭なんて、やっぱり悲しいもん。


「さすが太陽の化身、リコエル」

「まーね、天気のことならあたしに任せなさい」


ニヤリ、なりきり顔で口角を上げる。

あたしと愛花の、いつものくだらない冗談だ。


……くだらない冗談。

だったのに──。

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