子犬系男子は待てを知らない


***



「わあ、すごい!」


〝文化祭〟


登校早々、あたしはドーンと校舎に掲げられた垂れ幕を見て感動の声をあげた。


今日は、あたしにとって高校初めての文化祭。

昨日愛花が教えてくれた通り、空は綺麗な青色だ。


「璃子どれ気になる?」

「えーっとぉ」


愛花に促され、パンフレットを開く。

この謎解き脱出ゲームなんて楽しそうだし、縁日も気になるなぁ。それから劇と、あとは……。


「選べない〜〜」

「わかるー!」


賛同してくれた愛花とキャッキャと笑いながら、教室まで向かう。


選べないほどどれも魅力的。

それは本当なんだけど、決められないのにはちょっと別の理由もあった。


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