子犬系男子は待てを知らない
「ううっ、執事雪平くん眼福すぎて……むりっ」
「見てよ山岡くんもやばいから! あの逞しい腕に護られた〜い」
「てかてか二人並んでるのヤバすぎなんだけど」
「「推せる〜!」」
……やっぱり。思った通りだった。
1年C組の出し物は、多数決によって決まった執事喫茶。
その名の通り男子が執事となって接客し、女子は調理を担当する。
というわけで、男子は黒のスーツにベスト、リボン風のネクタイと白の手袋を身につけ、執事に扮しているんだけれど。
「なーに見惚れちゃってんのー?」
「ちっ、違うから!」
「ふ〜ん」
……実際は違わない、けど。
恥ずかしいから声に出さないでほしい。
しょーがないじゃん。今日の雪平くん、いつもは下りてる前髪が上がってて、ちょっと大人っぽく見えるんだもん。
あたしだって……。
「ほら、行ってらっしゃいっ」
「え? どこに!?」
わっ!