子犬系男子は待てを知らない
「またのお越しをお待ちしております」
あっという間だった。
パチパチパチ。
雪平くんが一礼した瞬間、喝采のような拍手が巻き起こった。
見回すと、その場にいたギャラリーが賞賛の目でこちらを見つめている。
「お怪我はございませんか? お嬢様」
「っ、……ありがとう」
なんだか、本物の執事様みたい。
いつもと違う口調のせいもあるかもだけど、妙に緊張してしまう。
「なーんてね。ちょっとやってみたかったんだ」
あははと笑う雪平くん。
あたしは、そんな彼をそっと見上げて言った。
「かっこよかったよ」
あなたはいつも、あたしを守ってくれるよね。
心の中で呟いたら、目の前の顔が少しくしゃっとした。