子犬系男子は待てを知らない
「諒ーーー!」
大きく息を吸って口を開いたのとほぼ同時、あたしの声を遮るようにして誰かの声が響いた。
凛とした明るい声。
この声は──。
「美織ちゃん!」
「あら、ステキ! とっても似合ってる」
「本当? ありがとう」
予感的中。
気づいた時には、友達二人を引き連れた桃園さんがうっとりとした表情で雪平くんを見つめていた。
「ねぇ、あっち行きましょー? せっかくだし諒に注文とってもらいたいの。いい?」
「うん、わかった」
まぁ〜。
相変わらずベタベタしちゃって……。
「あ……てか璃子ちゃん、さっき何か言いかけて……」
「えっ、や、なんでもない! 雪平くんはお客さんのお相手してあげて」
「そう? ならいいけど」