子犬系男子は待てを知らない
ってゆーか、愛花のやつ。
協力してくれるのはありがたいけど、わざわざこんな大掛かりにしてくれなくてもよくない?
一瞬、桃園さんに先を越されたのかと思って焦ったし。
それにメイド服の女が一人でいるせいか、さっきからめちゃくちゃじろじろ見られてるんですけど。
……あとでちょっと文句言ってやろっと。
「あのっ写真撮ってください」
「え?」
歩みを進めていると、突然前からやってきた二人組の男の子に声をかけられ、あたしは足を止めた。
「ああ、いいですよ」
なぜか昔からよく写真とか頼まれやすいのよねー。
「ん? カメラは……」
「あ。メイドさんも一緒に」
「あたしも?」
うそーそっち!? と思ったけれど、既に準備万端と言わんばかりに向けられたカメラには逆らえず。
あたしは右手でピースサインを作った。