子犬系男子は待てを知らない
結局、5組の人たちと写真を撮ったあたし。
こんなことになるなら、上着でも羽織ってくればよかった……!
でもまだ大丈夫。
チラッと時計を見ると、11時19分。
よし。全然間に合う。
そうして切り替えて走り出したんだけれど──。
今度は道に迷った老夫婦と出くわし、道案内が終わったと思えばそのまた今度はお母さんとはぐれたらしい小さな子どもと出くわして。
なんとかお母さんを見つけた時、時計の針は11時45分を指していた。
「本当にありがとうございました」
「いえ! よかったです」
……よし。これでやっと──。
「藍原さん」
ビクッ!
安心したのも束の間。
後ろから聞こえたその声に、あたしは肩を震わせた。
うそ──。