子犬系男子は待てを知らない


「やっと見つけた。どこへ行くの?」

「……べ、別に」

「ふーん」


でっ、でたーーーー!

なんでこんな時に桃園さんに出会っちゃうのよ!


「ねぇ。藍原さんはあのジンクスこと、知ってる?」

「え?」

「文化祭当日、12時までに結ばれたカップルは一生幸せに添い遂げる」

「うそ、桃園さんも知って──」


あっ。


「やっぱりね〜。じゃあ、そのジンクスにあやかって告白しようとしてるっていう私の推理も、当たってるかしら?」


うっ、名推理にも程がある。

まさかそんなことまで読まれて……。


「させない」

「……っ!」

「諒は絶対に私のものにするんだから」


どうしよう、あたしにはこれしかないのに。

このままじゃ時間が……。


刻々と迫る時間に焦ったあたしは──。

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