子犬系男子は待てを知らない


***



あっという間に迎えた放課後。

普段はあれだけ待ち遠しく感じるチャイムの音が、今日はなんだか虚しく聞こえる。


例のお昼休み以降、あたしの魂はどこかへ旅に出てしまったようだ。



『ちょっと璃子ちゃん、そーゆーことなら教えてよー』

『雪平くんとなんて羨ましい〜』

『で、結局付き合うの!?』

『もう返事はしたぁ?』


なんて、時間が出来ればクラスの女の子たちからの質問攻め。

困ったあたしは『なんでもないから』と逃げ続けるも、向けられた好奇の眼差しは増えるばかりで。



「はぁー……」


それもこれも、雪平くんが公衆の面前であんなことを言うから。


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