子犬系男子は待てを知らない


「り、璃子ちゃん……」


なに──。


「……あっ」


どっ、どうしよ、あたし……。

無意識にとんでもないことを……!


雪平くんの手を引いて教卓の下に隠れたのはいいけれど、これじゃあ違う意味で身が持たない。


耳元で感じる吐息に、密着した身体。

そんなものを意識してしまったら、自ずと鼓動が速くなるのも必然で。


落ち着け、あたしの心。


そう思うも、中々聞いてくれない。

むしろドキドキは加速していくばかりで。

近すぎる距離に、呼吸が乱れるのを何とか抑えるので精一杯だ。


動いたら余計にダメな気がする……。

息を殺すようにし、雪平くんとくっついたままの状況を必死で耐える。

だけどもう、限界……っ。


お願い早く過ぎ去って──。


目を瞑ったその時、新たに声がしてあたしの身体はビクンと跳ねた。 


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