子犬系男子は待てを知らない


それは……あたしだってそう。


負けたくない。

ただその思いだけで……。


「わがままな璃子ちゃんも、可愛かったよ」

「……っ」


ほんと、この人は……っ。

どれだけあたしのことドキドキさせたら気が済むの。


「でも」

「ん?」


チラリ、目だけを動かすとすぐ、視線が交わって。


「……いいの? 俺、期待しちゃうよ?」

「えっ」


刹那にしてあたしをまっすぐと見つめる瞳に捕えられた。

どこか熱っぽい表情。

こんな至近距離でそんな顔向けられたら──。



「っ! も、もう出ても平気よね!」


慌てて教卓の外へ逃げ出したあたしは、ふぅっと深く息を吐いた。

次の瞬間。

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