子犬系男子は待てを知らない
あたしの苦労はいったい……。
大事なこと忘れるなんて、ばかすぎる。
……せっかくのチャンスだったのに。
これがあればって。
運命だと思ったんだけどな……はぁ。
情けなさに襲われ涙目になった時、フッと息が漏れたみたいな声が聞こえた。
「やっぱり璃子ちゃんって、本当に面白いよね」
……へ?
いきなり何を言い出すかと思えば。
「面白い?」
わけわからない。
ってか雪平くん、なんか笑ってない?
「あ、もしかしてさっきのお腹の音? ひどーい」
「え、違っ」
「じゃあなに?」
あたしは負けじと抗議する。
すると、雪平くんはごめんと言ってから切り出した。