子犬系男子は待てを知らない


「ねぇ、雪平くん?」


いつもそう。

雪平くんは、逃げてばかりのあたしにまっすぐに感情をぶつけてくれて、いっぱいに届けてくれてたよね。

だから今度は、あたしの番。


過去とか、未来とか、

拘ってる今ほどつまらないものはないから。



「あたし、雪平くんにどうしても伝えたいことがあるの」



まっすぐ前を見据える。


ジンクスなんかなくたっていい。

ちゃんとあたしの意思で、声で、届けたいんだ。



「だから、あたしに時間をくれる?」

< 201 / 352 >

この作品をシェア

pagetop