子犬系男子は待てを知らない


「璃子ちゃんにだったら、いくらでもあげるよ」


覚悟を決めたあたしの言葉に、雪平くんが優しい声で返した。


告白は初めてなんかじゃない。

なのに、今まで感じたことのないこの感覚はなんなんだろう。

身体がふわふわして、でもどこか重たくって。

倒れてしまいそうな感覚──。


「すぅっ」


深呼吸をして落ち着かせる。



「……あたしね、怖かったのずっと。もし想いが通じあって、恋人同士になったら、あたしのこと嫌いになっちゃうんじゃないかって……嫌われちゃうんじゃないかって」


不安だった。

だって、そうだったから。


好きになった人が自分から離れていく。


あんな気持ち、もう味わいたくなくて。誰かを好きになること自体、怖くなってた。

だから、この想いに気づけたのに伝えることができなかった。


「でもね……? そんな恐怖心よりも、今は別の気持ちの方が大きい」


どんな道が待ってるかなんてもう、関係ない。

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