子犬系男子は待てを知らない
「雪平くん、あたし……」
──トクン、トクン……。
「あたしっ……雪平くんのこと、誰にも渡したくない。ずっとあたしだけ見ててほしいって……ほんとはそんなこと思ってる」
唇が震える。
手足の感覚もほぼない。
でもこれだけは、絶対に伝えなきゃならないから──。
「好きなの。どうしようもなく、雪平くんのことが」
「……っ」
あたしが言い切るや否や、彼の目は大きく見開かれた。
ドキドキ。
ドキドキドキドキ。
ドキドキドキドキドキドキ。
「ね、ねえ! なんか言ってよ!」
さっきからずっと見守ってるのに、雪平くんたら永遠に無反応。
さすがに痺れを切らして叫ぶように言うと、目の前の彼は突如その顔を手で覆った。