子犬系男子は待てを知らない


「よかったぁ。俺たち、今日から恋人同士……ってことで、いいんだよね?」

「うん……」


雪平くんがあたしの彼氏、かぁ。

……へへっ、なんだかくすぐったい。


「でもほんとに俺でいいの? 俺、今まで勉強と部活ばっかで恋愛経験とかほぼないし……」


え……?

もしかして雪平くん、気にしてる?


なんかかわいいかも。


っていうか……。


「そんなの、あたしも同じようなもんだよ」

「え? でも璃子ちゃん……」


あたしの言葉に不思議そうに声を洩らした雪平くんに、あたしはクスッと笑った。


「付き合ってた人はいたけど、恋人らしいことなんて、一つもしてないし」

「恋人らしいこと?」

「そ。手繋いで帰ったくらいで、デートもキスも……」


はっと呑み込んだけれど、

ほんのり赤くなった雪平くんの顔を見て遅かったと後悔。


「えっと、だからその……」

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