子犬系男子は待てを知らない
それにひきかえ、雪平くんってばどうしてあんなに普段通りでいられるんだろう。
体育のバスケでは大活躍だったし、当てられた数学の問題はスラスラと解いちゃうし。
こっちはこれからどう接すればいいのか悩んでるっていうのに。
なんだか悔しい気すらしてくるんですけど。
……もしかして、気にしすぎ?
あたしが変に意識しすぎてるだけなのかな──。
「ねぇ、そろそろ教えてくれてもいいんじゃないの?」
「っ!」
聞こえてきたそんな声に目を向けると、ニヤリと口の端を上げる愛花がそこに立っていた。
「なんの話し?」
「ほらぁ、アレしかないじゃない。アンタと雪平くんとの馴・れ・初・め♡ 勿体ぶってないでさあ」
「出会いね。変な言い方しないでよ」
……ていうかもう、これで何回目なの。
雪平くんにはみんなには言わないでって口止めしてるから、あたしにしつこく聞いてくるんだろうけど。
「ほらほら早く」
「……だから、恥ずかしいからヤなんだって」
「いやー、こうなると余計気になるじゃない」
「……」
絶対お昼のこと言ってるよね。
でも、そんなこと言われたって……。