子犬系男子は待てを知らない
「喜んで」
あたしはすぐさま、差し出された手に自らのそれを重ねて頷いた。
「このまま繋いでいい?」
「え?」
考えている間に、気づけばぎゅっと握り締められていた手。
「……っ」
どうしよう。
重なる手と手から伝わってくる熱に、鼓動が悲鳴をあげる。
──手を繋ぐのって、こんな感じだったっけ……?
この前繋いだ時には気づかなかったけど。
雪平くんの手って、こんなに大きかったんだ……。
あたしのがすっぽり入って。
剣道をやっているせいか、ちょっと硬くて。
初めてちゃんと触れたそれになんだか緊張して、ドキドキが押し寄せてきたけれど。
「リベンジ成功」
えへへっと笑った顔を見たあたしは、つられて笑みをこぼすしかなかった。
幸せ。
あたし、こんなに幸せでいいのかな……。