子犬系男子は待てを知らない
「いってきまーす!」
あたしは急いでネックレスを付け、家を──
っと、いけない。
リビングの机の上に寂しく置かれていた忘れ物を鞄につめ、家を飛び出した。
***
「雪平くん!」
集合場所の駅へ着くとすぐ、先に来ていたらしいその姿を発見して手を振った。
「おはよ、璃子ちゃん」
……雪平くん、黒も似合うなぁ。
シンプルな白のトップス以外は、シャツもズボンもバッグも全部黒系統でキレイにまとめられてる。
「おはよ。待たせちゃった?」
「ううん、全然。俺が早く来すぎただけだから」
「そうなの?」
あたしが首を傾げて見ると、雪平くんは露骨にあっという顔をした。
その反応は予想外で。
「いつからいたの?」
「……えっと」
気になってじぃっと見つめる。
「……1時間、くらい前かな」
「え?」
「璃子ちゃんとのデートが楽しみで、その……」