子犬系男子は待てを知らない
……かっ、かわいい〜っ!
照れくさそうに俯く雪平くんに、にやにやが抑えられない。
「……笑わないでよ」
ムッとした顔を向けられてしまい、ちょっと反省。
「ごめん、ごめん。でも嬉しかったんだもん」
そんなに楽しみにしてくれてたなんて。
浮かれてるのは、あたしだけじゃないのかも。
そう思ったら、幸せで、きゅんとして。
周りから見たら、それだけで? なんて思われちゃうんだろうけど。
「んふふ〜」
あたしの胸は、キラキラでいっぱいになってしまったんだ。
「ほら、行くよ璃子ちゃん」
ルンルン気分の耳に届いたのは、急かすようなそんな声。
「うん!」
そうやって元気に返事したあたしだったけれど、次の瞬間には一変した。
……手っ!
いつの間にか繋がれていたそれに、ピクッと反応する。
手汗とか、大丈夫かな。
雪平くんと手を繋いだのは初めてじゃない。
でもやっぱりまだ慣れなくて、緊張してしまう。
それに……さっきから女の子たちにすっごく見られてるし。
小声で何か言ってるのも聞こえてきて、落ち着かない。
そわそわする気持ちで見上げると、くるりとこっちに顔を向けた雪平くんと目が合った。