子犬系男子は待てを知らない


「ほんと? それならいいけど」

「ほんとほんと!」


なるべく自然に笑顔を作る。


「実は俺、ホラー映画とかゾンビ映画とか、そーゆうのすっごく好きなんだ」

「そ、そーなんだあ」


大丈夫。

たかがお化け屋敷。

怖かったのは子どもの時だけ。

うん、今はきっと──。



「ぎゃぁーーーー!」


──されどお化け屋敷。


早速中に入ったのはよかったけど、堪らず絶叫。


てか、こんな真っ暗だった?

なんか妙にオバケもリアルだし、音もやけに不気味。

頼りは入口で渡された小さな懐中電灯だけで、ぜんっぜん意味ないし。


「無理ぃっ⋯⋯」


震える手と足。

ううっ、どうしよう。

目、開けられない──。

< 218 / 352 >

この作品をシェア

pagetop