子犬系男子は待てを知らない
「ほんと? それならいいけど」
「ほんとほんと!」
なるべく自然に笑顔を作る。
「実は俺、ホラー映画とかゾンビ映画とか、そーゆうのすっごく好きなんだ」
「そ、そーなんだあ」
大丈夫。
たかがお化け屋敷。
怖かったのは子どもの時だけ。
うん、今はきっと──。
「ぎゃぁーーーー!」
──されどお化け屋敷。
早速中に入ったのはよかったけど、堪らず絶叫。
てか、こんな真っ暗だった?
なんか妙にオバケもリアルだし、音もやけに不気味。
頼りは入口で渡された小さな懐中電灯だけで、ぜんっぜん意味ないし。
「無理ぃっ⋯⋯」
震える手と足。
ううっ、どうしよう。
目、開けられない──。