子犬系男子は待てを知らない


なにそれ。

そんなこと言われたらにやけちゃうじゃん。


「俺のために頑張ってくれたんだよね」

「……っ」


あたしは一拍ほど遅れてから、小さく首を縦に動かした。


天然なのかなんなのか、いっつもあたしのことドキドキさせるんだから、ほんと困ってしまう。

……はずなんだけどなぁ。


「ってことで、次は璃子ちゃんが行きたいとこ行こっか」

「え? んー、どうしよう。えっとねぇ……」


……雪平くん。

やっぱりあたし、嬉しいよ。



それからあたしがリクエストしたジェットコースターに乗って、そのあとはゴーカートで勝負して、メリーゴーランドの馬にも乗ってみた。

こんなにはしゃいだの、いつぶりだろ。



「……はぁ〜っ、楽しかったねー!」


次のアトラクションから出てきたところで、あたしは抑えきれない高揚感を声に表した。


二人乗りのボート型の乗り物に乗ってゆっくりと進んで行く、妖精たちの世界。

目に映るもの全てが、可愛くて美しくて、とにかくキラキラしてて。

鳴り響く壮大なメロディに誘われ、胸が高鳴るのはもう必至だった。

しかも隣には、雪平くんがいたわけで……。


って、あれ?

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