子犬系男子は待てを知らない


「雪平くん?」


え、どうしよう。

いない?

もしかしてはぐれちゃった!?


きょろきょろと辺りを見回すも見つけられず、焦ったあたしはそうだ、と鞄の中を漁る。

ええっと、スマホ……んもう、どこに……。


「はい」


えっ。

声に誘われるように顔を上げると、ピンク色をしたソフトクリームとこんにちは。

思わぬ事態に一瞬固まってしまったあたしだけど、振り向いた先にいたのは、やっぱりな彼だった。


「もう! 突然消えたと思って焦ったんだからね」

「ごめん。ちょうど並んでなかったから今だって、買っちゃったんだ」


ひとまず迷子じゃなくてよかった。

ほっと一安心したあたしは、「どうぞ」と言って差し出してきたそれを雪平くんの手から受け取った。

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