子犬系男子は待てを知らない
かわいー。
目の前でわたわたする様子を見て、ふふふっと口元が緩んでしまう。
「璃子ちゃん取れた?」
「もー、まだついてるよ」
あたしは鞄からティッシュを取り出し、右の口角あたりについたそれを拭ってあげた。
「うん、これで大丈──」
「「……っ!?」」
……ち、近っ。
いや、あたしが近づいたんだけど、それでも……。
鼻先が触れそうな距離で思いっきり合ってしまった目と目。
どうしよう。
なんかめちゃくちゃ心臓鳴ってるし。
「……っ」
ゆ、きひらくん……。
見つめてくる、どこか熱を帯びた瞳に吸い込まれそうになる。
ドッ、ドッ、ドッ──。
もしかして、これ……。
え。あたしこのまま、雪平くんと──。