子犬系男子は待てを知らない


──ブブッ!


「「うわぁぁあ」」


……さ、最悪!

びっくりして雪平くんから離れちゃった。


えーーん、今めちゃくちゃいいとこだったのにぃ!


誰よこんな時にLINEなんてしてきたのは、と机の上にいる犯人を睨む。

仕方なく席に戻ったあたしは、目にしたメッセージを見てぐぬーっと拳を握りしめた。


【お土産楽しみにしてんぜ】


「旭ぃ……!」

「あ、旭くんどうかしたの」


なーにが〝お土産〟よ。

なんで遊園地行ってることあんたが知ってるのか知らないけど!


「知らないっ、あんなやつ……」


あんたのせいで、雪平くんとのラブラブチャンスがぁ……!

うぅぅ、立ち直れない。


「ねぇ璃子ちゃん」

「へぇ?」


なにぃ……?

と、悲しみのあまり気の抜けた返事をしたその時。


「こっち向いて」


そんな、優しい囁きのような声が聞こえてきたかと思えば。

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