子犬系男子は待てを知らない
「……っ」
唇に柔らかなものがぶつかった。
え。
まって。
どうしよ……あたし……っ。
雪平くんと、キス……してる──。
理解した瞬間、驚いて見開いていた目をすっと閉じた。
……これが、キスなんだ。
初めての感覚に頭がふわふわとしておかしくなりそう──……。
「……しちゃったね、キス」
「っ!」
そっと離れると、雪平くんが妖艶な表情であたしを見た。
なんでだろう。
なんだか急に照れくさくなって、俯くようにこくりと頷く。
すると雪平くんはそんなあたしの頬に手を添え、ふにゃりと笑った。
「……ずっと、璃子ちゃんとこうしたかった」
っ、雪平くん……。
嬉しい。
再び視線が深く絡み合って、自然と同じように笑ってしまう。
「あたしもっ」
ああ、あたし……最高に幸せだよ──。