子犬系男子は待てを知らない
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──幸せな余韻に浸ったまま、名残惜しくももう帰る時間になってしまった。
遊園地を出たあたしたちは今、歩いて駅に向かっている。
初めてのデート、すっごく楽しかったな……。
色んな乗り物に乗って、たくさん緊張して、叫びまくって。
あたしが作ったお弁当も、喜んで一緒に食べてくれて。
朝から遊んだのに、全然時間が足りないくらいだった。
雪平くんも、あたしと同じかな……?
チラッと隣を見ると、ん? と雪平くんが見返してきた。
「……今日はありがとう」
「ううん。璃子ちゃんこそ、俺に時間をくれてありがとう」
……きゅぅぅん。
溢れんばかりの幸せを全身で噛み締める。
大好きな人と、こうやって一緒の時間を過ごしたら、こんな気持ちになるんだ。
「……っ」
ぴと、と手に何かが触れて、そのまま吸いつくように絡み合った。
あったかい……。
その時鞄の中でまたブブッとスマホのバイブレーションが鳴った気がしたけれど、あたしは気にしなかった。
だって、この時を大事にしたかったから。