子犬系男子は待てを知らない
「じゃあね、璃子ちゃん。気をつけて」
「うん、雪平くんも」
途中で電車を降りる彼に手を振る。
雪平くんは送ろうか? って言ってくれたんだけどね。
まだそんなに暗くないし、その気持ちだけ受け取ることにした。
寂しいけど、スマホには何枚か二人で撮った自撮り写真があるから無敵。
家に着いたら、何回も見返してやろう。
なんていうのは、さっき思いついたばかりだけど、我ながら良いアイデアだと思う。
楽しみができた。
そのついでに、もう一つくらい増やしてもいいよね。
あたしは、小さくなっていくその姿に、心の中でそっと語りかけた。
……ねぇ雪平くん。
またデートしようね?