子犬系男子は待てを知らない


『早まらないで!』

『……っ』


その腕を、強く両手で掴みながら言う。


『生きてればきっとステキなことがあるから! だから……!』


なにがあったかわからない。

でも。


『自殺なんて絶対──』



『はっ、くしゅん!』



え?

思わず手の力が緩んだ。


『あはは、ごめん。俺実は花粉症で……』


『……へ? か、花粉、症?』

『はい。この時期酷くって。薬もちゃんと飲んでるんだけどな……っくしゅん!』


は、ははは……。

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