子犬系男子は待てを知らない


「で、初デートはどうだった?」


そんな言葉が聞こえてきたかと思えば、目の前には、さっきのお返しと言わんばかりのにやけ顔。


「うーん、どうって……」


あたしはティーカップに口をつけながら、ついこないだの記憶を呼び起こした。


昨日は、夢みたいな時間だったなぁ。

今までデートなんて、少女漫画とかの世界でしかなかったから、未だに信じられない。

憧れみたいなものはもちろんあったけど、実際に自分が体感することなんてもうないと思ってた分、すぐに受け止めることができないでいるのが現実だった。


それでも、スマホにはちゃーんとその記録が残ってて。

すぐに見られるように、お気に入りをロック画面に設定しちゃった。

それを見ては夢じゃなかったんだって、気づかされるたびに嬉しくなったりして。


ふふっ。

結構いい雰囲気だったんじゃないかな……? あたしと雪平くん。


一緒にアトラクションに乗って、手も繋いで、それから──。


「キスはしたの?」

「ブッ!」

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