子犬系男子は待てを知らない
あっぶな!
危うく紅茶吹きこぼすとこだった。
「っ、ごほっ、ちょっ、なにいきなり!?」
「あーら。焦ってるとこ見たらあんたたちもう……」
「……っ」
こくり。
あたしが黙ったままゆっくりと頷くと、愛花は「きゃーー」っと小さく悲鳴をあげた。
「ついにかー、やったわね。おめでとう! 雪平くん初心そうだし、あんたも恋愛初心者みたいなもんだし、心配してたのよ」
「……は、はあ」
「まあ、ほんとは文化祭の時にするかと思ってたんだけどねー」
……え、なに?
文化祭の時って、両想いになれた当日なんだけど……。
「えと、もしかして愛花さんは笠井くんと……」
「そうね。付き合ったその日になりゆきで」
なっ、その日!?
……すごい。みんなそんなもんなの?
未知の世界に迷い込み、ぱちぱちと瞬きを繰り返してしまう。
でもそうよね。笠井くんて、見るからに肉食系ですって感じだし……。