子犬系男子は待てを知らない
「てか、私の話はどうでもいいから。早く、初デートのご感想は?」
「! そ、れは……楽しかったよ、ものすごく」
考えるまでもないのだけど、やっぱりこれが一番ぴったりの答えだ。
思い返すだけでまだ、自然と頬が緩んでしまうんだもん。
「そか。私も、あんたと恋バナできるの結構楽しいかも」
「え……」
その時ニッカリと落とされた笑みに、どういうわけが視界が揺れた。
「雪平くんならって、信じてよかった。彼にはほんと、感謝ね」
「……愛花ぁ」
ユラユラと、湧き上がってくる温かいなにかにぼやける視界。
愛花と二人で恋バナをしたのは、何年ぶりだろう。
この先もう、あたしにはできないのかもってずっと諦めていたのに。
それがまた、こうやってできる日がきたんだ。