子犬系男子は待てを知らない


***



「えーーーっ! 婚約者ぁ!?」


あたしは堪らず驚きの声を上げた。

だってだって、そんなまさか……!


現在あたしは愛花と桃園さんと、そして桃園さんと一緒にいた男の人と近くのカフェに移動し、話を聞いてるんだけど……。


「すみません、あたし勘違いして……」


思いもよらぬ展開に冷や汗が吹き出す。

どうやらこの男の人は、桃園さんの幼なじみでしかも婚約者らしい。

そうとは知らずにあたし、とんでもなく失礼なことしちゃったかも。


「いえ、そんなお気になさらず」


あたしが頭を下げると、その人は顔を上げるように促した。


……にしても、桃園さんにそういう人がいたなんてびっくり。

あたしは無意識にも愛花と顔を見合せた。

< 248 / 352 >

この作品をシェア

pagetop