子犬系男子は待てを知らない
『ごめんなさぁぁい!』
どうやら、とんでもない思い違いをしていたらしい。
『で、では私はこれにて失礼し……』
『ちょっと待って!』
足早に立ち去ろうとした矢先、後ろから呼び止められ足を止めた。
『ありがとう』
ん"ん"……っ!
なになに? あなた天使なの?
優しさに胸を打たれていると、サァァッとまた風が吹いた。
『君みたいな子が────』
『……えっ? 何? 風でよく……』
『ううん。なんでもないよ』
これが、あたしと雪平くんの出会いだった──。