子犬系男子は待てを知らない
「彼のことだけど、言っただろ? 美人の彼女さんがいるって」
「そんなの信じない」
「同じ高校に通ってる僕の後輩に聞いたんだ。間違いないよ」
え?
美人の、彼女?
どこでどう脚色が入ったのか知らないけど、それってあたしのこと……?
愛花に視線をやると、肩を震わせて笑いを堪えているところだった。
ちょっと、他人事だと思って!
「……え、えっと。あたしたちはこれで」
さすがにいたたまれない気持ちになってそう言ったわけだけど、丹羽さんの救いを求めるような目によって阻まれてしまった。
「藍原さんと関口さんも、西高って言ってたよね? なにか、知らないかな」
「えっ!?」
知らないもなにも……。
だけど、その彼女あたしでーす、なんてここじゃ言えない。
絶対、ややこしいことになるに決まってる。
「さ、さあ……?」
そうやって、乗り切ろうとした時だった。