子犬系男子は待てを知らない
そういや愛花のやつ、ちょっと前から誰かとやりとりしてるみたいだったけど……そういうことね。
笠井くん、愛花のこと大好きだもんなあ。
微笑ましい気持ちで二人を見ていると、笠井くんの腕がナチュラルに愛花の腰に回され、思わず目を見張った。
うっわぁ、笠井くんったら大胆……。
「おい、ここ人前」
「ん? 俺は別に気にしないけど」
「寧ろ気にして!」
あたしにはちょっと刺激が強すぎて、見てるこっちが恥ずかしくなっちゃう。
……というか。
「あのー、おじゃま虫はここらで退散しますね」
「「え?」」
「ちょ、璃子!?」
(最近笠井くん構ってくれなくて寂しかったんでしょー? ふぁいとっ)
せっかくのチャンスなんだから、とあたしの方へ引き寄せて耳元で言うと、愛花は照れたようにしながらも小さく頷いた。
「じゃあね、愛花、笠井くん」
我ながらグッジョブ!
親友を応援したい気持ちは、あたしだって同じなんだから。
込み上げてくるニヤニヤを精一杯抑えつつ、あたしは速やかにその場から姿を消した。