子犬系男子は待てを知らない


「……帰るか」


暫く一人で歩いたところで、ため息に似た声が口から零れた。

ああやって言ったものの、ちょっとばかり虚しさが残るのも本音。

満足感の方が大きいのは変わらないけどさ。


……今頃二人でラブラブしてんのかしら。

愛花と笠井くん、相変わらずお似合いのカップルって感じだったし。

きっと二人の時間を楽しんでるよね?


あーあ。

あたしも、雪平くんと──……。



『雪平くん……好き』

『俺も好きだよ、璃子ちゃん。……ねぇ。キス、してもいい?』

『うん。しよ……?』


お互いに絡まるような熱い視線で見つめ合い、そして二人の影は一つに──。


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