子犬系男子は待てを知らない
少しも怖くないって言ったら嘘になる。
会ったら思い出してしまうんじゃないかって、不安な気持ちもある。
でも。
『一緒に、頑張ろう?』
『うん……っ』
雪平くんと一緒ならきっと、全部乗り越えられるって自信を持って思えたんだ。
──そうして期末テスト2週間前に突入した、今日の放課後。
ちょうど雪平くんの部活がおやすみになって、遥斗もあたしも特に予定がないってことで、この日に集まることが決まり……今に至るというわけ、なんだけど……。
「お冷いかがですか?」
「お、お願いします」
なんとも言えない空気に、緊張のせいか何度もお水を飲んでしまう。
いや、実際雪平くんについてきてもらうのを決めたのはあたしだけどね?
来てもらって助かってるんだけどね?
遥斗と雪平くんと3人で会うってことは、つまり──元カレと今カレに挟まれることになるってこと。
それがこんなにも気まずいだなんて、ここに来るまで全く考えてなかったんだもん。