子犬系男子は待てを知らない
気のせいかな?
なんかちょっと……。
──ブーッ、ブーッ。
小さな違和感に首を捻ったその時、どこからかくぐもったバイブ音が聞こえてきた。
「ごめん、電話だ」
どうやら雪平くんのスマホだったらしい。
小さく呟くように言った彼は、それを手に取り立ち上がると店の外へと走っていった。
えっとぉ……。
「二人きりになっちゃったね」
雪平くんが離席した今、ここにはあたしと遥斗の二人だけ。
急に何を喋っていいかわからなくなり、出てきたのはそんな言葉だった。
そうしてすぐにまたやってきた沈黙。
それを今度は、遥斗が破った。