子犬系男子は待てを知らない


「今日は本当にありがとな。……俺、ずっとお前と話したいって思ってたんだ。だから」

「っ! ……ううん。あたしこそ、話せてよかった」



最初は怖かったけど、ここに来てよかったって、今ではそう思えてる。

こんなにちゃんと話せるとは思ってなかったし、仲直りも一応できた。


……隣に雪平くんがいてくれたから。

雪平くんのおかげで、逃げずにいられたんだよね。


「なぁ璃子」

「ん?」


高揚感で心が満ちる中。

聞こえた呼び掛けになに? と耳を傾けたあたしは、次の瞬間言葉を失った。

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