子犬系男子は待てを知らない


……こいつ。

謝りたいとか何とか言っておいて、最初からそういうつもりだったんだ。

理解した瞬間、ふつふつと奥底から怒りのようなものが込み上げ──

気づけば、身体が動いていた。


「ぐはっ」

「ふざけんな!」


あたしは思いきり肘でみぞおちの辺りを殴ると、財布から数枚取りだしたお札をテーブルに置いて走り出した。


最っ低!

せっかく、友達の頃みたいに戻れるかもって、そう思ってたのに。


ありえない。

ありえないありえない!


何が『俺の方が大事にしてあげられる』よ。

あなたが雪平くんのなにを知ってるって言うの!

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