子犬系男子は待てを知らない


「俺、今日はもう帰るね」

「……っ」


あたしが驚いた顔をすると、

「ちょっと、寄るとこあってさ」と雪平くんが続けた。


ドクドクと胸がざわめき出すのがわかった。

同時に、血の気がサーッと引いていくような、そんな感覚に見舞われる。


「そっ、か……」


本当にそうなの?

用事があるだけなの?


嫌な予感がしてならない。


だって目、合わないよ。


「雪平くん……」

「じゃあ、また学校で」

「……うん。またね」

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