子犬系男子は待てを知らない


それからあたしは、雪平くんと二人きりになれるチャンスを窺った。

だけど何度も何度も、上手くいかなくて。

今日は無理かと諦めかけたその時、ついに好機はやってきた。


5時間目の休み時間。

山岡くんと愛花に手伝ってもらい、移動教室から戻る途中の渡り廊下でやっと、雪平くんを捕まえることに成功したんだ。


そして、口から心臓が飛び出しそうなほどの緊張感に捕われる中、あたしはそっと問いかけた。



「雪平くん……あたしのこと、避けてる?」

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