子犬系男子は待てを知らない
「もしかして、俺の様子が変とか思ってた?」
「う、うん……」
しばらく立ち尽くして見つめる中問われ、恐る恐る頷いた。
すると。
「そう思わせちゃってごめん。でも、なんでもないから。それよりほら、早く戻らないと。次の授業遅れちゃう」
明るい声で言った雪平くんがあたしの背中をポンッと押した。
なんでもない……。
ほんとにそう思っていいの?
信じてもいいの?
ねぇ、雪平くん──……。
「りーこっ。なにしてんの?」
「わっ!」
後ろから突然覗きこまれ、頬杖をついていた手がズルっと外れた。
「愛花! びっくりさせないでよ」
「帰んないの?」
言われて、ハッとした。
もうHR終わってたのか……。