子犬系男子は待てを知らない
あれから二人で教室に戻ったあたしと雪平くん。
だったんだけど。
6時間目の授業はほとんど耳に入ってこなかった。
期末テストまであと2週間もないというのに、集中なんて全くできなくて。
ぼーっとしている間に、放課後に突入していたみたい。
「雪平くん待ち? ちゃんと仲直りできたんでしょ」
愛花はあたしたちが一緒に戻ってきたのを見てたんだろう。
本当はここですぐに〝うん〟て答えたかったんだけどな。
「……できた、のかな」
あたしの口から出たのは、そんな曖昧な言葉だった。
あの時雪平くんは気にしてないって。なんでもないって、そう言った。
……でも。
なんかまだ引っかかるっていうか。
「しゃーない! この愛花様が気を利かせてやろう」
「はい?」
いきなりキランと目を光らせたかと思ったら、何?
「おじゃま虫は退散してやろうって言ってんのよ」
「!」
……愛花め。
この前のあたしの台詞を取りやがったな。