子犬系男子は待てを知らない


今日もまた、雪平くんとちゃんとお話できなかったな……。

放課後になり、津川くんたちと勉強している雪平くんの姿を横目で見たあたしは、いつものようにため息をついた。


愛花には先に帰ってもらった。

今日こそは話しかけるって、宣言して。

なのにあたしの心は弱くって。いざその時を迎えると、ちっともこの口を動かせない。


いつの間にか、足は靴箱の方へと向かっていた。



「なにやってんだろ、あたし……」


このままもし雪平くんと仲直りできなかったら?


……そんなの、嫌すぎる。

絶対、やなのに……。


結局何も進んでない。


どうしても、〝あの日〟までには仲直りしたかったのに。


「……はぁ」


もうついに、明日じゃん……。



「よっ」

「ぎゃあっ!」


情けなさに唇を噛み締めた時、いきなり後ろから肩を叩かれビクッと身体が震え上がった。

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