子犬系男子は待てを知らない
「熱は、大丈夫?」
「うん、平気。だいぶマシになったから」
「よかった……。これ、飲み物とフルーツ」
「ありがとう」
雪平くんが差し出してくれた袋にそっと手を伸ばす。
するとその時。
「ひゃっ」
急に足がもつれて、そのままバランスを崩したあたしは、前へと倒れ込んだ。
「ご、ごめんっ」
気づいた時には雪平くんに支えられていて、理解するや否や心臓が飛び跳ねた。
「熱っ。璃子ちゃん、やっぱりまだ熱酷いだろ」
「……」
雪平くんが何か言ってるけど、そんなの耳に入ってこない。
ドキドキして、それどころじゃなかったのだ。
だって、久しぶりに触れた雪平くん。
平常心でいることなんて、100%無理に決まってる。