子犬系男子は待てを知らない
「あ、寝てて大丈夫だよ」
「ううん、このままでいい」
「そっか」
今朝よりは本当に楽になったし、せっかく雪平くんが来てくれたんだ。
ちゃんと、向き合って話がしたい。
「じゃあ隣、座っていい?」
「……うん」
こっちに近づいてきて言った彼は、あたしが返事するとそのまま空いていた右側に腰掛けた。
……雪平くんが家にいるなんて、不思議な感じ。
慣れないこの感覚に、なんとなくそわそわしてしまう。
──というか。
あたし今ヤバい格好してない?
ここにきて漸く、自分がパジャマにボサボサ頭の寝起き姿であることに気づいた。
……うわぁ、変に思われてないかな。
咄嗟に手で髪を整えるように押さえる。
抱えきれないほどの羞恥心でチラッと隣を見ると、横顔が目に映った。
斜め下を向いた顔。
伏せられたまつ毛。
「雪平くん……?」